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【平成29年度税制改正】医療費控除は領収書の提出が不要となりました

平成29年度税制改正により、個人の所得税で適用される医療費控除について、手続き面で改正が入りました。
今回はその内容について見ていきたいと思います。

【目次】

 

1.改正前の取扱い

改正前の取り扱いは、医療費控除の適用を受けようとする場合には、確定申告書を提出する際に、添付書類として医療費の領収書を併せて提出する必要がありました。
(電子申告の場合には、以前から医療費の提出は不要とされており、領収書の保存が必要とされています。)

領収書が大量にある場合は、郵送にて提出する際に、かさばってしまって大変という方も多いと思います。

 

2.改正後の取扱い 

○改正後の取扱いは、医療費の領収書に代わり、「医療費控除の明細書」を提出することになりました。
そのため医療費の領収書は提出不要となります。
ただし、医療費の領収書は5年間保存義務があり、税務署から求められたときは、提示又は提出する必要があります。

○さらに、健康保険組合等が発行する医療費のお知らせ等を添付すれば明細の記入を省略することも出来ます。

下記に「医療費控除の明細書」の書式とその書き方のサンプルを国税庁の資料から転載しておきます。

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3.適用時期

 

今回の改正は平成29年分の所得税の確定申告から適用されます。
なお経過措置として、平成29年分から平成31年分までの確定申告については、改正前の取扱い(領収書の提出)でも問題ありません。

【平成29年度税制改正】~大法人~確定申告書の提出期限の延長に係る改正

平成29年度税制改正により、主に大法人を対象とした確定申告書の提出期限の延長について改正が入りました。
今回はその改正の内容について見て行きたいと思います。

中小企業に関わる延長については下記の記事を参考にしてください。

 

hamatax.hatenablog.jp

 

【目次】

 

1.趣旨

 

企業と株主・投資家の充実した対話の促進という観点から、平成27年6月に株式会社東京証券取引所が公表した「コーポレートガバナンス・コード ~会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のために~」においては、上場会社は、株主総会関連の日程の適切な設定を行うべきであるとされ、また、「『日本再興戦略』改訂2015」において、企業が適切な総会日や議決権の基準日の設定を行うこととされ、「日本再興戦略2016」においても、対話を重視する企業が株主総会の日程や議決権の基準日を欧米諸国等の状況と比較しても合理的かつ適切に設定するための総合的な環境整備の取組を進めることとされています。

 

上場企業におけるこれまでの実務では、議決権の基準日と決算日を一致させ、会社法の規定に従い、その日から3月以内に株主総会を開催していたところですが、上記のような情勢を踏まえ、議決権の基準日を決算日後の日に設定することで、決算日(事業年度終了の日)の翌日から3月を経過する日後に株主総会を開催することが想定されます。
そこで、平成29年度税制改正により、法人税の確定申告書の提出期限について、一定の要件を満たす場合には、最大4月間の延長を認めることとされました。

 

2.概要

平成29年度税制改正前においては、確定申告書を提出する法人が、会計監査人の監査を受けなければならないことその他これに類する理由により決算が確定しないため、その事業年度以後の各事業年度の確定申告書をその提出期限までに提出することができない常況にあると認められる場合には、税務署長は、法人の申請に基づき、各事業年度の確定申告書の提出期限を1月間(特別の事情による場合には、税務署長が指定する月数の期間)延長することができることとされていました(旧法75 の2①)。
この制度について、平成29 年度税制改正により、以下の改正が行われました。

 

(1)確定申告書の提出期限の延長の特例を適用することができる場合の見直し

確定申告書の提出期限の延長の特例の適用を受けることができる場合は、定款等の定め又はその法人に特別の事情があることにより、その事業年度以後の各事業年度終了の日の翌日から2月以内にその各事業年度の決算についての定時総会が招集されない常況にあると認められる場合とされました。
この場合には、税務署長は、法人の申請に基づき、各事業年度の確定申告書の提出期限を1月間(下記⑵イ又はロに該当する場合には、それぞれに定める税務署長が指定する月数の期間)延長することができることとされました(法75 の2①)。

 

こちらの改正は従前からあった延長の規定を、株主総会が事業年度終了の日の翌日から2月以内に開催できない=決算が確定しないため確定申告書を2月以内に提出できないという形に言い換えています。

 

(2)延長期間について税務署長の指定を受けることができる場合等の見直し

延長期間について税務署長の指定を受けることができる場合は次のイ又はロの場合とされ、延長期間はそれぞれ次のとおりとされました。

 

イ 会計監査人を置いている場合で、かつ、定款等の定めによりその事業年度以後の各事業年度終了の日の翌日から3月以内にその各事業年度の決算についての定時総会が招集されない常況にあると認められる場合(法75 の2①一)

この場合の延長期間は、その定めの内容を勘案して4月を超えない範囲内において税務署長が指定する月数の期間とされました。

 

ロ 上記⑴の特別の事情があることによりその事業年度以後の各事業年度終了の日の翌日から3月以内にその各事業年度の決算についての定時総会が招集されない常況にあることその他やむを得ない事情があると認められる場合(法75 の2①二)
この場合の延長期間は、税務署長が指定する月数の期間とされました。

 

3.申請に当たっての留意点

・延長の申請をする場合には、適用を受けようとする事業年度終了の日までに、申請書を提出する必要があります。

・申請した後、事業年度終了の日の翌日から15日以内に税務署長による連絡がなかった場合には、提出期限の延長又は申請に係る月数の指定がされたものとみなされます。

・定款等の定めにより、事業年度終了の日の翌日から2月以内に定時総会が招集されない常況にあることを理由に確定申告書の提出期限の延長を申請する場合には、申請書に定款等の写しを添付する必要があります(法75 の2④)

 

4.申請書の記載例

国税庁の資料より以下の2パターンの記載例を転載します。

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【平成29年度税制改正】研究開発税制 試験研究費の範囲の改正

平成29年度税制改正により、試験研究費の範囲に一部改正が入り対象が拡充されています。
今回はその改正が入った試験研究費の内容について見ていこうと思います。

 

【目次】

 

1.対価を得て提供する新たな役務の開発

 

平成29年度税制改正により、研究開発税制の対象となる試験研究費の範囲に、対価を得て提供する新たな役務の開発を目的とした試験研究(サービス研究)のための一定の費用が追加されました。

サービス研究の費用が試験研究費と認められるためには、(1)その役務が新たな役務の開発を目的として、(2)以下のサービス設計工程(情報の収集,分析,設計,確認という4工程)の全てを行うこと等が必要になります。

①情報の収集
大量の情報を収集する機能を有し、その機能の全部若しくは主要な部分が自動化されている機器若しくは技術を用いる方法によって行われた情報の収集又はその方法によって収集された情報の取得。

②分析
①の収集又は取得に係る情報について、一定の法則を発見するために行われる分析で、情報の解析に必要な確率論及び統計学に関する知識並びに情報処理に関して必要な知識を有すると認められる者により情報の解析を行う専用のソフトウェアを用いて行われる分析。

③設計
②の分析により発見された法則を利用した当該役務の設計。

④確認
③の設計に係る法則が、予測と結果とが一致することの蓋然性が高いものであること、その他妥当であると認められるものであること及び当該法則を利用した当該役務が当該目的に照らして適当であると認められるものであることの確認。


2.新たな役務の意義

 1.(1)の「新たな役務」に該当するかどうかは、今まで世の中に全く無かったサービスに該当するかどうかではなく、その役務を提供する法人にとって従前に提供していない役務に該当するかどうかによって判定することとされています。

一方で、従前に提供している役務がある場合の新たな役務の判定については、例えば、以下の場合には「新たな役務」に該当するとされています。


(1)当該法人が提供する役務が従前に提供している役務と比較して新たな内容が付加されている

又は

(2)当該法人が提供する役務の提供方法が従前と比較して新たなものである
 

3.サービス設計工程の全てが行われるかどうかの判定

1.(2)のサービス設計工程の全てが行われるかどうかについては、法人がサービス設計工程の全てを実行することを試験研究の計画段階において決定しているかどうかにより判定することとされています。
この点、サービス設計工程の全てが当該事業年度に完了していない場合又は当該事業年度において試験研究が中止になった場合であっても、法人がサービス設計工程の全てを実行することを試験研究の計画段階で決定しているときには、その試験研究はサービス設計工程の全てが行われる試験研究に該当するとされています。

なお、サービス設計工程の全てを実行することの判定については、当該法人がその全部又は一部を委託により行うかどうかについては問わないとされています。

 

4.試験研究費の範囲が改正された場合の取扱い

試験研究費に含まれる費用の範囲が改正された場合には、比較年度の試験研究費の額についてもその改正後の規定により計算する必要があります。
そのため、総額型又は中小企業技術基盤強化税制において増減試験研究費割合が5%超の場合の特例を適用する場合には、その期にサービス研究を行うか否かにかかわらず、必ず、サービス研究のための一定の費用が加えられた「改正後の試験研究費の範囲」に基づいて過年度分の試験研究費を再計算することが必要になりますのでご留意ください。